『MANGA オーディション〜樹林伸プロデュース〜』

『MANGA オーディション〜樹林伸プロデュース〜』最終審査 結果発表!最新作の見どころと樹林流のミステリー作品の作り方

Aug 12, 2021
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「金田一少年の事件簿」「探偵学園Q」「サイコメトラーEIJI」「BLOODY MONDAY」――。数々のメガヒット作品を手掛けた樹林伸先生の最新作「ギフテッド(仮)」

そんな最新作を一緒に作り上げていくマンガ家を発掘するオーディションプロジェクト『MANGAオーディション~樹林伸プロデュース~』ですが、約5ヶ月間にわたる審査を経て、応募総数115人の中からついに決定しました!

最終審査の内容は「ギフテッド(仮)」1話全体プロットをネームに、またその中の10ページ分を原稿にするというもの。今回は、見事オーディションを勝ち抜いた方のネームと原稿を見ながら特に評価したポイントを伺いました。
最後に教えて下さった樹林先生流のミステリー作品の作り方や長期連載に向けて心得ておくべきことは、今の時代にマンガ家を目指す人にとって必見の内容です! ぜひ最後までご覧ください。



樹林:まず最初に、今回のオーディションはレベルが高すぎて甲乙つけがたかった...! みなさん本当に素晴らしかったですし、できることならみなさんと一緒にマンガを作りたかったです。

―最終審査では予定の時間を大幅にオーバーするほど悩まれたんですよね。

樹林:本当に大接戦の中...、雨宮理真さんを選びました!

雨宮理真さん

雨宮理真さん
出典元:https://illust.daysneo.com/illustrator/30amamiya_r/

「1次審査」の時に”この1枚のイラストから2人のキャラククター性が伝わってくる”と絶賛されていた方ですよね!

雨宮理真さん
出典元:http://nakayosi.kodansha.co.jp/kibayashiproduce/01.html#sec02

樹林:今回の最終審査は本当にレベルが高かったのですが、その中でも雨宮さんは頭一つ抜けているなと感じました。特に評価したポイントを紹介していきますね!

主人公2人の重量感とバランスの良さ

雨宮理真さん

樹林:「ギフテッド(仮)」は、若き天才警察官・天草と不思議な能力を持つ男子高校生・九鬼のバディものミステリー。2人の登場シーンの重量感、そしてバランスがとても素晴らしかったです。

雨宮理真さん

樹林:2人のバックボーンがしっかりと描かれているのはもちろん、セリフが多い天草に負けないように九鬼にも華を持たせている...。この作品のキモである”バディもの”をよく理解されているなと感じました。

―冒頭の九鬼の登場シーンもすごく印象的ですよね。

雨宮理真さん

樹林:耳からスッとイヤホンを外しているシーンですよね。顔はわからないけれど、横顔がとてもかっこいいですよね...!とても印象的な描き方ですし、よく見るとシャツの下に黒いTシャツを着ていて、首元にはアクセサリーがあってキャラクターを上手に記号化させています。これによって、この先に九鬼が登場する際も「あ!最初に出てきた少年だ!」って読者はすぐにわかります。すごく計算されていますよね。

読者を惹きつけるキャラクターの距離感と目線

雨宮理真さん

樹林:最後のページを見た時に、ヒット作を描く人が持っているような独特なオーラを感じました。キャラクターもかっこいいし、イラストセンスがあるのはもちろんですが、この天草と九鬼がグッと近づいた距離感にすごく惹きつけられました。

―確かにすごくドキッとしますよね。

樹林:ヒット作を描く人って、こういう風に読者をドキッとさせるのが上手なんですよね。

―先ほどのシーンでドキッとした一方で、こちらのシーンを読んでいると天草のキャラクター性がよく伝わってきて一種の楽しさみたいなものがありますよね。

雨宮理真さん

樹林:雨宮さんの原稿は、セリフが少ないシーンでもイラストを見せられている感じが一切なく、マンガとして読ませてきますよね。読んでいて本当に楽しかったです!
また、楽しく読み進んだ先に、突然見開きで現れるこの死体発見のシーンもかなり良かったです。ミステリー作品において死体発見のシーンはとても重要なので、下からの独特な目線で描かれているところも非常に印象的で良いです。

雨宮理真さん

ミステリー作品の面白さを左右する!犯人の描き方

樹林:評価ポイントを順番に解説していきましたが、中でも雨宮さんは犯人の描き方がダントツで素晴らしかったんですよね。

雨宮理真さん

樹林:最初は目撃者らしく一般人の風貌で登場しているのですが、九鬼から指摘を受けると顔がどんどん変貌していくんですよ。顔を歪めたり、爪を噛み始めたり...。どこにでもいるような一般人から徐々に殺人犯らしい不気味なキャラクター性が出てくるんです。主人公の探偵を魅力的に描くのはもちろんですが、犯人をこういう風に面白く描けるとミステリー作品はさらに面白くなります。

―「金田一少年の事件簿」にも特徴的で面白い犯人がたくさん登場しますよね。

樹林:地獄の傀儡師の異名を持つ高遠遙一がまさにそうですよね(笑)。犯人や悪役にも個性を持たせることで、作品に新たな空気を持たせることもできるし再登場させることもできます。



【樹林先生コメント】

炉月さん

炉月さん
出典元:https://illust.daysneo.com/works/eccb39cdc2f5e5ea94d0255246b2c402.html

絵が本当に上手!特に背景の描き込みや演出力が光っていました。九鬼の回想シーンは特に良かったです。ですが、天草の髪型などキャラクターの個性が少々強過ぎる印象を受けました。もちろん個性は大切なのですが、より多くの読者にキャラクターのファンになってもらうことを考えてアレンジしたらもっと良くなると思います。


三条尚さん

三条尚さん
出典元:https://illust.daysneo.com/works/133d90548ff8caf92d337cfe29e7de5c.html

キャラクターを魅力的に見せる演出がすごく上手でした。特に回想シーンで被害者の生駒が現れるシーンは、思わず彼女に同情してしまうくらい感情移入してしまいました。ネーム力も非常に高いです。ただ、それぞれのキャラクターの個性の深堀が少し足りないように感じました。現状だと、全てのキャラクターが優しく描かれているので、例えば九鬼にはもう少しクールな雰囲気があっても良いと思いました。


U4_amamimanさん

U4_amamimanさん
出典元:https://illust.daysneo.com/works/8f9c07f5245140f24871467a50033aca.html

画面構成力やデッサン力が非常に高いです! 漫画としての完成度は抜群でした。その分、若干女性にファンがつきにくい絵柄やキャラデザが惜しかったです。最近は少年誌連載の漫画でも女性ファンの獲得が重要になるので、その点を研究してみても良いかもしれません。


gomakyoさん

gomakyoさん
出典元:https://illust.daysneo.com/works/cf380e47685ba0babed3664cc1f6af78.html

被害者の生駒が登場するシーンは、他の候補者と唯一異なる描き方をしていてとても印象的でした。自分の個性に合わせて原作を昇華できていると感じたのですが、主人公2人の描き分けに課題を感じました。髪型以外にも表情や雰囲気などを変えてしっかりと描き分けましょう!


まぼさん

まぼさん
出典元:https://illust.daysneo.com/works/a6b566e077b7874678b515133cec0e94.html

かっこいい男の子を描くのが本当に上手だと感じました。飲んでいたアイスコーヒーを投げ上げて、その間に犯人を倒すという演出も粋で良いですし、作中にコミカルなシーンを入れているのも印象的でした。ですが、キャラクターの描き分けが少し弱いのでぜひ改善してみてください!



ミステリー作品を作るなら面白い現象をめざとく見つけよう!

―ここからは、これからミステリー作品に挑戦する方に向けてアドバイスをいただきたいのですが...。ずばり、ミステリー作品を考える時はどういう所からヒントを得ているのでしょうか?

樹林:まず、ミステリーのトリックはマジックがすごく参考になりますよ!
例えば、世界最古のマジックと呼ばれている「カップ・アンド・ボール」は、カップと小さなボールを使って、ボールを移動させたり消失させたりするマジックなのですが、これをカップではなく部屋、あるいは乗り物などシチュエーションを変えて想像してみるんです。ミステリーのトリックに使えそうじゃないですか? あとは移動したり消失するボールが人間の首になると…怖いですが、印象的な事件のエピソードに使えそうですよね。

―突然物騒になりましたけど、マジックから一気にミステリーのトリックになりましたね。

樹林:他にも、静止画を別の角度から見ると立体的に見えるトリックアートを見た時に、これが人間の首だったらどうなのか...という発想をしてみてトリックに使うなんていうのもありかもしれません。面白い現象をめざとく見つけて、その原理を違うジャンルに応用することが大切なんです。

―面白い現象ってどのように見つけるのでしょうか?

樹林:新聞紙を読むのがおすすめですよ! 文化面には面白い情報で溢れていますし、社会面を見ると実際に起きた事件が載っているので、犯行動機などキャラクター作りの面で参考になります。

ミステリー作品におけるキャラクター作り

「ギフテッド(仮)」では、若き天才警察官・天草と不思議な能力を持つ男子高校生・九鬼が主人公として登場しますが、どちらもすごく個性的ですよね。ミステリー作品におけるキャラクター作りで意識していることってありますか?

樹林:ミステリー作品の主人公は、犯人と戦うのでそれに負けないくらいの強い個性を意識しています。今回の「ギフテッド(仮)」はバディものなので、突出した才能を持つ天才警察官・天草、そして神様に与えられた不思議な能力を持つ九鬼...という風に、お互いが持ってない個性を加えました。

長期連載はとにかく最初が勝負!

―これから雨宮さんと一緒にミステリー作品の「ギフテッド(仮)」を「なかよし」で連載していくわけですが、長期連載に向けて心がけておくべきことを教えてください!

樹林:長期連載は月刊誌なら1〜3話、週刊誌だと1〜7、8話が勝負です。とにかく、この最初のうちに頑張ってファンの数を増やしてほしいです! 連載を続けていく内にファンとの距離が縮まることはあるけれど、数の差は中々埋まらないんです。
長期連載を続けていくと、どうしても途中でエンジンが切れてしまうことがあると思います。ですが、最初はどうにか頑張って時間と体力を精一杯使って作品と向き合って欲しいです。その「貯金」が後で効いてきます。

―とにかく最初が勝負なんですね...!

樹林:あとは、いかに読者に、作品を読んでいる時間以外も作品に夢中にさせるかですね。読者が最新話が出るまで待ち遠しくなったり、読み終わった後もまた読み直したくなる...。そうなるためには作品の面白さはもちろんですが、それくらい読者を惹きつけるキャラクターや物語の「個性」が重要になってくるんですよね。

―今までの審査で一貫して重視されていた「個性」がここに繋がるんですね。 最後に「ギフテッド(仮)」への意気込みと特に注目してほしいポイントを教えてください!

樹林:ミステリー作品やるからには、「金田一少年の事件簿」や「サイコメトラーEIJI」とも違う、新たな個性を持たせたいと思っています。
また「ギフテッド(仮)」はバディものなので、ストーリーはもちろんキャラクター同士のじゃれあいや関係性についても注目して欲しいです! そんな2人の様子を原作者としてしっかりと描きたいと思っているので、雨宮さんにも思いっ切り表現してほしいですね。


今回の『MANGAオーディション~樹林伸プロデュース~』で誕生した「ギフテッド(仮)」は、今冬発売の「なかよし」で連載開始予定です!
少女漫画誌で描かれるミステリーの新境地、ぜひご覧ください。



(ライター・ちゃんめい)

樹林 伸
漫画原作者・小説家・脚本家。
漫画編集者として『シュート!』・『GTO』などに携わる。
原作者として『金田一少年の事件簿』・『BLOODY MONDAY』・『サイコメトラーEIJI』など大ヒット作を多数手がける。


MANGA オーディション〜樹林伸プロデュース〜 結果発表
優勝者に樹林伸原作の女性向けミステリー漫画の連載を担当してもらうオーディション企画。
「なかよし」・「パルシィ」内で連載&単行本化確約。

◆詳細はこちら
https://illust.daysneo.com/award/manga_ods4.html


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